相続税の延納と物納…相続税の納税
相続税と相続税延納物納は違う分野です。
同じ「相続税」で区切られており、相続税法という法律のなかで規定されており同じ分野と思われがちです。
しかし違います。「相続税」は税金のことですが、「相続税物納」は不動産処分のことです。相続税納税のための不動産処分の方法の一つが「相続税物納」です。土地所有者が土地を処分して不動産を納税するに際して、「土地売却」にしようか「相続税物納」にしようか迷ったうえでどちらかを選択します。
実務でいえば「相続税」は税理士等の専門家の仕事です。「相続税物納」は税理士にできないこともありませんが、現実の処理は測量や境界立ち会い、借地借家契約の変更等の不動産に関する実務ですから、実際はその分野の専門家以外は困難なことがおおいでしよう。
ですから物納の実務は不動産処分の業者等が受託することが多いでしょう。それは「相続税物納」が税金の問題ではなく土地処分の問題だからです。
昭和バブルの頃は物納ができないことによる自殺者までだしました。それを受けて物納制度が改正されたこともあります。今また地価急落時代を迎え、土地処分を物納で行おうとする人が急増します。この方にとって「相続税」と「相続税物納」は別のことでしょう。「相続税がいくらになるか知りたい。相続税の仕組みを知りたい」という方と「物納を知りたい」という方は違います。
更に「相続税延納」の金融です。どのように相続税納税資金をファイナンスするか、銀行から借りるのか、国のローン(相続税延納)をするのかといった問題です。
「相続税延納」は国からの長期ローンと同じです。これも「相続税がいくらになるか知りたい。相続税の仕組みを知りたい。」という疑問とは全く別レベルです。相続税を払うために銀行からローンをするか国から延納というローンを受けるのかの違いです。つまりファイナンスの問題です。銀行から借りるよりも国の延納という名のローンの方が有利であるのなら、その手続きをしなくてはいけません。銀行でいえば借入の手続きです。
当サイトでは「相続税がいくらになるか知りたい。相続税の仕組みを知りたい。」という疑問には答えられませんが、「納税のための不動産処分やファイナンスを知りたい」という方にむけて実務を説明いたします。
相続対策は大きく分けて3つに分かれます。
- 財産分けをスムーズにし、「相続」を「争族」にしない。
- 相続税を無理なく減らす。
- それでも生じる相続税を払えるようにする。
財産分けをスムーズにできるように遺産分割プランを考え、遺言書をつくります。無駄な相続税を払わないように不動産や金融資産により相続税対策を行います。
実は相続税対策で難しいのは、「相続税を払えるようにすること」です。それはスムーズな財産分けを目指しながら、相続税を減らしながら、同時に相続税の納税資金を考えないといけないという、連立方程式になるからです。
相続人の誰かに金融資産が集中すると、その人は相続税を払えても、不動産等ばかり相続した人は金銭納付が困難になります。また「相続税は物納」と考えて、必要な準備をしていても、財産分けでつまずくと分割できなくて物納ができなかったり、相続人皆に金融資産が配分されて誰も金銭納付困難な状況でなくなり、物納ができなくなったりします。
100億円の現金だけの相続なら相続税は重いのですが、現金があるから払えます。その人が相続税対策として借入金をする等の対策で相続税が1億円まで減ったとしてもその1億円が払えないこともあります。
相続対策の難しいのは、3つの対策のバランスを取ることです。そして最後に相続税が生じるのであれば、その相続税を払わなくてはいけません。
相続対策で、忘れ去られてしまったり、置き去りにされてしまうことが多いのが「相続税の納税」対策です。そしてそこでは延納と物納の検討が不可避です。
1億円の税額を20年延納すれば、元金分は年500万円です。地主さんによっては「そのくらいなら払える」ということもあります。しかし延納は年一回元金均等払いで、利子税は経費になりません。銀行借入金なら元利均等月払いなので資金繰りが組みやすく、金利は経費になります。年一回の延納はしっかり資金繰りをしておかないと、毎年支払い時に苦労します。折角金銭で払えるはずの相続税が資金繰りがうまくいかずに最終的に土地売却になってしまうことも多々あります。
延納も物納は複雑です。相続税の納税を何度もする人はいません。慣れないことばかりです。
そんな相続税の納税が不安な人のための「相続税延納物納ネット」です。
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