測量&登記の成否は隣人と土地家屋調査士測量士の力量次第?…物納の実務!
相続税の申告は税理士の仕事です。でも土地の相続税物納の実務は不動産実務です。物納の成否は、実務を行う測量士や調査士さんの力量にもよるのです。.lf.
物納の要件
地価が不安定になると、売却を前提とした更地の物納申請が多いようです。〈売却価格が高ければ物納申請取下げ・安ければ物納〉‥というワケです。
物納するためには、三つの面積…《登記面積・実測面積・相続税申告書の面積》を、揃えることが必要です。貸宅地の物納であれば、これに「借地契約書記載の面積」が加わって、要件は四つになります。
物納は、無接道等で建物の建築が不可である土地や市街化調整区域では、原則として不可です。市街地山林は、接道条件等で苦労するのです。
測量&登記
物納の具体的な手続は、『地積更正登記』と呼ばれる作業から始めます。「実測面積」に合わせ、「登記面積」を直すのです。この作業は、民間の売買では省略される場合が多いのですが、第一の難関です。
「登記面積」と「実測面積」の差が僅かであれば、地積更正は不要です。しかし、縄伸び..実際の面積が登記面積より広いこと)が普通であるため、多くの場合で「地積更正登記」が必要になっています。
登記には、原則として、隣地所有者の実印と印鑑証明書の添付が必要です。《お隣》から印鑑証明書をもらうのは、ひと苦労です。
確認&確認
「地積更正登記」とは別に、測量図や隣地境界確認書を、税務署に提出します。『隣地境界確認書』では、《お隣》の実印でなくとも、認印でOKです。公道と接している場合、官民間の道路境界査定や明確な境界標の設置が必要になります。
以前は…物納地から防空壕跡が現われたりガラが埋まっていたりと、国も相当苦労したようです。そこで、〈埋設物が出てきた場合は責任をもって処理する〉旨の確認書を提出します。
成否は隣人?
隣接地境界線上の塀について…境界線を背中合わせに挟んだ二つの塀なら簡単ですが、境界線上に《お隣》の単独所有である塀があると、厄介です。この場合は、《お隣》から〈将来の改築等時は撤去移動する〉‥といった確認書をもらいます。
《お隣》の樹木が越境していれば、伐採してもらいます。こちら側の越境の場合も同様に伐採した上で、〈樹木は放棄する〉‥といった、確認書を作成します。
《お隣》の協力あっての物納ですから、《お隣》とは仲良くしましょう。《お隣》が、行方不明だったり《相続争い》をしていても、物納は困難ですが…。
《お隣》が区分所有のマンションである場合、隣接地は、その区分所有者全員の共有です。確認のため、所有者全員の印鑑が必要になることもあり、要注意です。
実務の力量?
〈道路幅が狭い・広い〉‥でモメれば、その道路を挟み対面する土地の印鑑まで、必要になります。ですから、道路査定未了の土地にも要注意です。
また、測量後の面積の増減によって、相続税額も変わってきます。面積が増えれば「相続税」が増加して、加算税も発生します。全体としては納税可能額が増えるので、悪いことでもないのですが…。
物納の成否は、実務を行う測量士や調査士さんの力量にもよるのです。
税務署と財務局
収納は、税務署や財務局の担当官が..実際に現地確認を行ってから実現します。収納の可否について権限が有るのは、財務局です。
納税者の窓口は、「徴収部門」である税務署や国税局ですから、納税者が財務局の担当者と直接会うことはありません。現地の立会いで、挨拶はするでしょうが…。
税務署の「徴収部門」(物納担当者)は、財務局と納税者を仲介しています。納税者には、物納財産が基準に適合するよう指示します。一方、特殊な事情があった場合には、納税者の立場で財務局を説得します。
徴収部門と課税部門
物納担当者にとっては、〈納税を迅速に進行すること〉が、仕事です。税務署は、一般的に《恐いイメージ》とされますが、それは違います。納税者の立場を、理解して共同作業とも言えます。
しかし、同じ税務署でも…「相続税」の税務調査は、「課税部門」です。こちらは、納税者には厳しい部署です。
納税者にとっては、「課税部門」か「徴収部門」で、イメージも付合い方も異なりますね。